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みなし残業代、固定残業代②   ~定額残業代に関する裁判例1~

みなし残業代、固定残業代等の定額残業代制度について参考になる判例としては、高知県観光事件判決(最二小判平成6年6月13日)があります。

 事例は次のとおりです。
 Xは、タクシー業を営むY社に雇用されて、タクシー乗務員として勤務していました。
Xに対する賃金は、毎月のタクシー料金の月間水揚高に一定の歩合(42%~46%)を乗じた金額を支払うという完全歩合給であり、Xが時間外及び深夜の労働を行った場合にも歩合給以外の賃金は支給されていませんでした。
 Yは、歩合給には時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分も含まれているからXに対する割増賃金は支払い済みであると主張したが、就業規則や雇用契約書には定額残業代に関する定めはありませんでした。

 この裁判の判決では、Xの時間外割増賃金の請求を認容しました。

 次のように判示しました。
「本件請求期間にXらに支給された歩合給の額が、Xらが時間外及び深夜の労働を行った場合においても増額されるものではなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことからして、この歩合給の支給によって、Xらに対して法37条の規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難なものというべきでありY社は、Xらに対し、本件請求期間におけるXらの時間外及び深夜の労働について、法37条及び労働基準法施行規則19条1項6号の規定に従って計算した額の割増賃金を支払う義務がある。」

 つまり、この判決では、固定残業代・みなし残業代等の定額残業代制度が有効になるための要件として、「通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外の割増賃金に当たる部分とを判別することができること」が必要としています。

 したがって、就業規則、雇用契約書、給料明細等により、「通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外の割増賃金に当たる部分とを判別できるようになっているかどうか」というのが、定額残業代の有効性を判断するに当たっての重要なポイントとなります。

弁護士 山田亮治

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